2010/08/04

そして3号機へ

熊本サーバーの予備チューナーとして、こないだ日本に行ったときにアースソフトPT2を買いました。

PT2はPT1の後継機で、BS同時録画時のシグナル低下問題が解消されており、チューナーも新しいものに変わった新型機です。
PT1はとっくの昔に製造終了、PT2も今年の春出荷分で製造終了なので、早い時期に予備を買っておくと将来安心だと考えたのです。
次のPT3では、PCIからPCI Expressに変わるとか、いろいろと噂が流れています。
アースソフトの社長さんが、まだ開発にも入ってないようなので、来年以降となるでしょう。
PT3に対する私の要望を言うならば、シングルチューナーでいいのでロープロファイル対応品も用意して欲しいことです。
静音、省電力PCを作るにはPCケースの制約が多いのです。
フルheightのPCIカードが使えるPCケースよりも、ロープロファイルが使えるほうが断然選択肢が多いのです。
メーカ製小型薄型PCでPCIスロットを持つものは、ほぼ全てロープロファイルなのです。



京都2号機の突然の活動停止により、私は代替案を考えなければなりません。

幸い、手元にはPT2があります。
不安定なものを使い続けるより、シンクロ率の高いPT2を使わない手はありません。

9月には再び日本行きが確定しています。その時にサーバー3号機を設置できます。

よって、急遽3号機を作ることにしました。

サーバタイプのでかいPCを日本へ運ぶのは困難です、というか、そんなことはしたくありません。
できるだけ小さくて、静音で、省電力で、しかも背の高いPCIカードが入る環境を考えると、自作しかありません。

1号機から既に1年半経過しており、ハードの選択肢も増えました。

Intel Atom搭載Mini-ITXマザーボードは豊富なラインナップがあり、対応するMini-ITXケースもたくさんあります。
3号機の構成はすんなりと決まりました。

Motherboard: Intel D510MO
Case: Thermaltake Element Q
Memory: no brand DDR2 800, 1Gx2
HDD: Hitachi 1TB, WD Greenのほうがよかったかも
Tuner: Earthsoft PT2
Smart card reader: NTTCom SCR-301
OS: Windows XP Home

基本構成は1号機と同じですが、OSはXPに変えました。
Home Serverは、でかいファイルのエラーログをやたらと作ります。
Cドライブの割り当ても少なく、不安がいっぱいなのです。
すぐに全ての設定が終わりました。
予定外だったのは、インテルのマザーボードBIOSが、指定時刻での自動電源ONに対応していないことでした。
「Restore on AC power loss」って項目は存在します。
停電検出後、システムをONにするのか、OFFにするのか、前の状態に戻るのか、選択できます。
もちろんONにしてもらいましょう。
それでも不安なので、追加で、電源LEDが消えていたら、京都の家にいる住民に電源スイッチを押してもらうよう、PC本体の電源スイッチ横に「電源スイッチ」と書いたテプラを貼り、電源ONを示すLEDの横に「これが消えていたら電源スイッチを押してください」と書いたテプラを貼って対応することにしました。


後は設置を待つだけです。
この構成で1年以上の長期稼働が実現できたならば、熊本のサーバーも2,3年後に同様な構成に入れ替えようと思います。

つづく

2号機活動停止

しかし、私のそんなささやかな幸せも、長くは続きませんでした。

2号機稼動開始から3週間経過したある日、TVRockのログを見ていると、とっくに録画が終わっているはずの番組が、まだ録画中になっています。

日本時間金曜日の夕方に放送される番組が、アメリカ時間土曜日の朝になっても録画が終わっていないのです。
おまけに、金曜日はその後にもいくつかの録画予約があったはずなのに、録画されていません。

FTP転送は続いているので、HP MediaServerは元気に動作しています。
再びTVRockのログを見ようと、ブラウザを立ち上げ、番組表を見るリンクへ行きました。
今度は何分経っても応答がありません。
HDUSへの録画終了命令の後に応答がないのか、TVRockも死んだようです。
どう見てもHDUSの死亡か、アンビリカルケーブルの切断が発端で起こった症状です。


京都の実家は、PCの再起動を頼めるような人たちではないのです。

MediaSmart Serverの電源スイッチは裏側にあり、探してもらうのも困難です。
例え再起動に成功したとしても、ログインしてもらわないとTVRockは動きません。
遠隔地からはVNCもリモートデスクトップもつながらない環境でMediaServerにログインするには、同じルーターにつながっている義理の父のPCを使って、リモートデスクトップ接続してもらうしかないのです。
そんなことを頼んだ日には、時間も電話代もおそろしいほどかかり、お互いに疲労困憊して途中で倒れることになるでしょう。

今回の事件で、HDUSの信頼性に大きな不安を持ち、HP MediaServerに疲れ果てました。
このまま使い続けることはないでしょう。


2号機は短命に終わりました。


次の来日時に回収し、MediaServerは製品そのものの目的通り、自宅PCのバックアップに使うことにします。

つづく

2号機設置

HDUSとFriioは窓から投げ捨てたと書きましたが、嘘です。まだ持っています。

熊本の実家は、48MbpsのADSLです。
熊本でもさらに田舎の町なので、光なんてまだ来てません。
[A]DSLなので、上り方向の転送は48Mbpsよりももっと遅いのです。
米国へFTP転送すると、だいたい92~93k byte/secの速度でダウンロードできています。
この速度だと、24時間で受け取れるファイルサイズは8GB程度です。
前にも書いたとおり、一時間番組だと6GBほどのファイルサイズです。
よって、1日かかって1時間ちょっとの番組しか送れません。
紅白を全てダウンロードするのに、3日ちょっとかかりました。


当たり前ですが、地デジは熊本のテレビ局だけしか録画できません。
妻は熊本のローカルCMを見て「わけわからん」と笑っています。
私が見たい番組は、別に大橋未歩が好きだからというわけではありませんが、ほとんどテレビ東京の番組です。
長く住んでいた関西の番組も見たいし、まだまだ満足できる環境ではありませんでした。


2台目を妻の実家である京都市内に設置する計画を開始しました。

京都だとテレビ大阪もなんとか視聴できます。
チューナーには残っているHDUSを使えます。
Friioは日本での実験中に何度もおかしくなったので、実用には耐えないと判断しました。
HDUSのほうがややマシでした。


HDUSを使う前提なので、設置するPCはUSBさえ付いていればラップトップでもいいし、小さな据え置き型でもOKです。
ちょうどクリスマスセールで、HPのMediaSmart Serverが200ドルちょっとと、おそろしいくらいの安値で売っているのを見つけました。
MediaSmart Serverならばハードウェアの信頼性も高いでしょうし、USBも付いている、中身は慣れたWHSが入ったPCです。


1台目と同じような構成で、チューナーだけHDUSにして、来日のときに京都の実家にこの録画サーバーを設置してきました。
ところが、HP MediaSmart Serverは一筋縄には動いてくれませんでした。


まず、初期状態がWHSのデフォルトではないのです。
HPによるカスタマイズが山ほど入っており、これがいろいろと不都合を引き起こしました。
残念なことに京都で作業できる2日以内に全てを設定完了できませんでした。
HPに言わせれば、お前の使い方が特殊すぎるからだ!と言われるでしょう。

まずはReal VNCです。
ファイヤウォールの設定を変えようが、どうしても接続できません。
MediaSmart Serverは半田ごて持って改造しない限りモニタがつながらないので、VNCかリモートデスクトップで接続しないと操作ができないのです。
そのため、全ての設定作業はリモートデスクトップを使って行ないます。
よって、B-CASカードリーダーの設定も、ファイルのアクセス権を変えることもままなりません。

結局、カードリーダーの設置は諦めました。
ダウンロード後に、Multi2Decというフリーソフトを使って暗号化を解除する方法にします。
VNCも時間切れです。

こんな状態で2号機が稼動開始しました。
さすが光接続、ダウンロードは最高で360kbyte/secの速度が出ます。
これは熊本の4倍、すなわち、24時間かけると4時間以上の番組が取れる速度です。
これで、熊本でやってない多数の番組を見ることができます。

とても幸せな気分になり、ようやく快適な録画環境が手に入ったと喜びました。

つづく

運用開始、一年経過

サーバーモデルを選んだせいなのか、ハードウェアはとても安定しています。

今まで起こったトラブルは、落雷による停電のときに電源が落ちたくらいでした。

FTP転送が止まる度に実家に電話し、電源を入れてもらいました。

ソフトウェアは、Real VNCがおかしくなりました。
他は安定しています。
Real VNCは、接続できるものの、5秒ほどですぐに切断されてしまいます。
5秒操作して、またつないで、とやればなんとか作業できています。

つづく

遠隔操作

だいぶ遠隔操作の自信が付いてきました。
後は、Windowsのリモートデスクトップ接続が遠隔地からできれば完成なのですが、これについては実験する以前から、ある問題があることがわかっていました。

リモートデスクトップ接続では、スマートカードリーダーがセキュリティ保護のために切断されるのです。
よって、リモートデスクトップ接続中はB-CASカードを読み込めないため、暗号化解除ができなくなります。

職場で使って慣れていたReal VNCをリモートデスクトップの代わりに使うことにしました。

他にもサーバ停止したときに備え、安全対策を行ないました。停電しても、最悪翌日の午前4時に自動起動するようBIOS設定しました。

WHSへの自動ログインもレジストリ変更で行えました。
これで、突然の電源断や再起動に対応できます。
TVRockはWHSへログインしないと動き出さないのです。

もちろん、Windowsの自動アップデートはOFFにしました。
録画中に勝手に再起動されたらたまりません。

FileZillaには、パスワード失敗を10回繰り返すと、相手のIPアドレスを記憶して同じアドレスからのログインを拒否するように設定しました。

これで録画サーバーが完成しました。
録画サーバーを熊本の実家に置き、米国からダウンロードして日本のテレビを見ることができます。

実家で行ったのは、ルーターのポート開放設定(FTP, VNC, TVRock, WHSのDynamic DNS用)、TVRockの再設定くらいです。

遠隔ログインの試験するために、3度ほどネットカフェに行きました。

つづく

拡張子はTS

録画したファイルをサーバで再生すると、ビデオカードは貧素なので、しょっちゅう止まります。
サウンドカードに至ってはついてすらいないので音も出ません。
FTPで別のPCで吸い上げてから再生します。

ところが、ファイルがFTPで取れません。
2GBほど受信したところでファイル転送が固まっています。
ネットで調べたところ、IISのFTPは2GB以上のファイルを扱えないことがわかりました。

IISのFTPサービスを停止し、別のソフトを探しました。
FileZilla ServerならばOKです。
FileZillaは設定も楽で、簡単に起動できました。
ファイルサイズ20GBだろうが、送れます。


ようやく別のPCで再生試験ができます。
再生にはVLC Media Playerを使います。

しかし、ここでまたトラブル発生。
テレビ朝日の番組だけ、画質がとても悪いのです。

このトラブルも簡単にわかりました。
ファイルの構造によっては、ワンセグのみを再生してしまうことがあるのです。

TSSplitterというフリーウェアを使い、ワンセグを切り出せば無事にフルセグ地デジを再生できました。
TSSplitterでワンセグデータを削除するので、1時間番組だと7GBほどあったファイルサイズが、6GB程度に小さくなりました。
FTPでの転送サイズも小さくなって、いいことだらけです。

VLC Media Playerでの再生画質は満足のいくものですが、激しく動くものを再生したときに、ちょっと気になる程度の横ずれが入ります。
これは、後日PS3を購入し解消しました。
PS3は最高のメディアプレーヤーと言いたいほど綺麗に再生します。
でもPS3立ち上げるのが億劫なときは、今でもVLC Media Playerで再生しています。

つづく

アースソフトPT1

家にでかいサーバーPCが届きました。
WHSを入れたり、ハードを換装していた矢先に、衝撃的な製品が発売されました。

録画マニアには超有名な、伝説的TVチューナーカードとして永遠に名を残すであろう、アースソフト「PT1」です。

PT1は、地デジ/BS/CS信号を「そのまま」ファイルに落とす作業しかしません。
よって、映像信号は暗号化されています。
このファイルを視聴するには、別途B-CASカードと、スマートカードリーダーが必要なのです。

B-CASはHDUSに付属していたものを持っています。
カードリーダーはNTTComのものがいろんなOSに対応しているので定番のようです。

元々、USB経由でつなぐチューナーには安定性に不安がありました。
試験運転中も、Friio、HDUSともにチューナーが死んで録画できなかったこともありました。

PT1はPCI接続です。しばらくは品切れで買えなかったものの、その間は運良く入手できた人たちの報告を読み漁りました。
安定性は一番のようです。
しかも価格は2万円以下と安く、地デジ2ch、BS/CS 2chと、他のチューナーと比べても贅沢な内容です。
CPUパワーもそんなに食わないので、CPUにAtomつんだPCでも4番組同時録画はこなせるようです。
私のサーバーCPUはAMDのSempronなのでAtomよりも高速です。
将来的には省電力なAtomで運用することも検討できます。

いろいとと調査している矢先、しばらくして、PT1を定価販売してる通販ショップを見つけ無事に購入できました。


ようやく最後の本命が登場しました。
HDUSとFriioを窓から投げ捨て、PT1をサーバのPCIスロットに設置しました。

設定を終え、TVRockをブラウザから遠隔録画予約できるようにし、Windows IISのFTPサービスを起動し、試験運転を開始しました。

TVRockは下手なHDDレコーダーよりも高機能です。操作も簡単、PT1同様、作者に感謝します。

つづく

コピーフリー録画との出会い

栃木から帰宅後、すぐさまFriioのことを調べました。
そしてその日のうちに注文し、数日後Friioが台湾から届きました。
Friioの持つ機能にはたいそう満足したのですが、ダブルチューナー化するには高価過ぎるし、安定性に不安がありました。


渡米半年前まではFriioを中心に構成を考えていました。
FriioのBS/CS版を購入すべきかどうか、悩み続けました。
高価だけど、他に方法がないので仕方がないのです。


悩み続けていたある日のこと、SKNetから発売されているMonsterTV HDUSでもFriioと同等のことができることが解明されました。

HDUSは地デジ1chのみのチューナで、USBでPCと接続します。
価格はFriioの半額以下です。
しかもB-CASカードも付いてきます。

主役交代の日が来ました。

HDUSは、Friioよりも小さく、設置も楽です。
Friio同様、TVRockという録画ソフトウェアが使えます。
TVRockは複数のチューナーを扱えるので、Friioを2番目のチューナーとして登録できます。

ようやく、地デジダブル録画環境ができあがりました。


この環境を熊本に設置しようと、デスクトップPCを買うことにしました。
年中無休24時間動作なので、信頼性が重要です。
サーバータイプのOSとPCを探しました。
Windows Home Server(WHS)だと、ダイナミックDNSにも対応しています。
価格もXPと同じか、ちょっと安いです。
サーバタイプのPCはたいていOSなしで買えるので、WHSとDELLのタワー型サーバの構成に決定しました。

サーバPowerEdge T105をDELLに発注し、WHSを購入してきました。
サーバのHDDは信頼性が高いものが付いているせいか、やたら高価です。
最低容量である160GBを選び、後にバルクで売っている1.5TBのものに載せ替えます。
メモリも同様です。

つづく

事の発端

「海外在住でも日本のテレビが見たい!」
「でもレンタルビデオは嫌だ。」
「ロケーションフリーやSlingboxのようなストリーミングタイプは品質が悪いから嫌だ。」
「リアルタイムに見なくてもいいや、どうせ時差があるから。」

そんな様々な思いを胸に、渡米一年前からこの録画環境を実現する方法を考え続けました。

様々な方法を試しました。
ビデオ信号をインターネット経由で流す、いわゆるストリーミングタイプの機器Slingbox Pro HDを米国から取り寄せて試しました。熊本の実家にSlingboxを仕掛け、東京で再生する実験を行ないました。画像が悪すぎて視聴に耐えません。全く気に入りませんでした。

私が次に行き着いた結論は、PC用のチューナーで録画した番組をFTPで送る方法です。アナログだと2011年7月以降は使えないので、地デジでないといけません。しかし、地デジにはコピーワンスやB-CASカードのような醜い仕掛けがされています。これらのせいで、日本で録画はできても、FTPで送った先である米国の家ではファイルを再生できません。

ある日のこと、仕事で栃木へ行ってました。一緒に仕事しているお客さんと昼食をとって雑談していたときに、私の地デジ録画作戦の話をしました。
そのお客さんからFriioなるPCで地デジをコピーフリー化して録画する装置があるという話を聞いたのです。

つづく